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末冨・妹尾・School Voice Projectの武田・小林の4人が登壇。
会見では提言を公表し、アンケートで把握できている現場の実態を説明しました。
当日配布資料:#教員不足をなくそう緊急提言、緊急アンケート結果(途中経過)
私たち #教員不足をなくそう緊急アクションは、現職・元職の教職員らで立ち上げた「School Voice Project」と、学校現場に関わってきた学校業務改善アドバイザーの妹尾昌俊、教育政策を専門とする研究者である末冨芳が協力して立ち上げた、子どもたちのために教員不足を一刻も早く改善するための活動です。
今、日本の学校には先生が足りていません。4月に学級担任が不在のクラスもあり、不安な思いをしている小学生たちがいます。専門ではない教科の先生から教わる中学生、高校生らもたくさんいます。しかも、今年度から来年度にかけて、教員不足はいっそう深刻になっていく可能性が高い状況です。
昨年度文科省による調査で明らかになった教員の不足数は全国で2558人。しかし、この数字には「そんなはずない」「もっと多いはず」との現場や保護者の声が多く聞かれます。
産休や病休の代わりに入る教員がいないために管理職の先生が授業を持つ、といったことは珍しくなく、私たちが実施したアンケートでは、2クラス同時進行で授業をしている、教員免許を持っていない教科を2教科も担当している、というケースさえあります。
今年度から小学校では35人学級がスタートし、学級数が増加しました。特別支援学級の数も増加しています。ですが、それに伴って必要な教員数を確保する対応がうまくいっていない自治体が多数あり、昨年度以上に深刻な事態が発生しています。 担任の先生がいない、教科の担当の先生がいないという状況が、子どもたちを不安で悲しい思いにさせ、具体的な不利益を生んでいます。このままでは公教育の土台が崩壊しかねないと、私たちは危惧しています。
現在進行形で教員が不足している実態があるため、とにもかくにも、教員として学校で働いてくれる人を速やかに増やす必要があります。以下、対象となる人々を4つに分類し、それぞれに対して、すぐにでも取り組んでほしい施策を提案します。
※多様な背景や個性を有し、これから不確実な社会を生きていく子どもたちと関わる教員の仕事は、決して簡単な仕事ではなく、高度な力量が求められる専門職である、ということが大前提です。
※この応急処置の項目に関しては、功罪があると思われるので、効果を検証しつつ、柔軟に見直しを図る必要があると考えます。
1-1 教員免許を保有している(取得見込みの)学生向け施策として
・教員採用試験の改善(大学推薦枠を拡充、試験実施時期の前倒しなど)
・教員になった場合に奨学金(日本学生支援機構)が返還免除となる仕組みの復活
1-2 教員免許を保有している社会人向け施策として
・採用試験を社会人が受けるインセンティブの強化(一部試験免除や、社会人経験や仕事上の実績に応じた加点など)
・休眠免許保持者やペーパーティーチャーの発掘
・中学校免許保持者の小学校現場での勤務を可能とし、促進する措置
(臨時免許状の発行もしくはそれ以上に簡易な手続きで可能とするなど。※その際、待遇は小中どちらで働いても同等とする。)
・一度離職した教員の復職の推進、安心して復職するため実習・研修プログラム等の整備
・講師登録、募集、一次面接、採用前研修などを担う全国的な講師人材バンクの整備、民間サービス(就活サイトなど)の活用
1-3 教員免許を保有していない社会人向けの施策として
・社会人特別免許状を授与するにあたって子どもと関わってきた経験を重視すること
(NPO・地域教育団体などで子ども支援や学校支援を行ってきた実績。ICT支援や地域協働のコーディネートなども含む。)
・社会人特別免許状授与者へのサポートの充実
(採用の事前事後に研修や学校での実習を整備したり、他の教員の業務のサポート等サブ的なポジションで働く期間を設ける等、
運用規定を作成することにより、学校教育の質の保証を図り、
採用される本人も同僚も子どもも保護者も安心できる仕組みを構築すること。)
※これは本来すべての新採教員に対して行ってほしいサポートです。
1-4 現職の非正規教員向けの施策として
・採用試験免除や面接試験で正規教員への移行ができる仕組みづくり(同僚や子どもたちからの声を基に校長が推薦するなど)
・給与や雇用システムの面での待遇改善
(給与が一定の勤続年数で頭打ちになってしまう、数年間働く場合にも年度末に一旦雇用が切られるなどの仕組みの見直しなど)
新型コロナの影響で、一部の学校行事のスリム化が進むなどの動きもありますが、感染症対策やICT関連の業務が増えるなど、多くの学校現場では、非常に忙しい日々が続いています。自治体レベルで取り組めることを着実に進め、職場レベルでの働き方改革に、教職員がやらされ感ではなく当事者意識を持って取り組めるための施策を打つべきです。本来の教師の仕事の魅力ややりがいを実感しながら働ける環境をつくる必要があります。
現在の就労状況のままでは、やる気と熱意と力のある若者等に学校現場に入ってきてもらうことは困難です。教員志望者を増やすためにも働き方改革は必須です。
2-1 教員が担う業務の見直し
・部活動を含むさまざまな業務の地域や外部への委託・移行
・教員以外の専門職・支援員の増員/常勤化
(学校事務職員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、ICT支援員など)
2-2 安心安全な労働環境づくり
・業務上抱えうる保護者等とのトラブルや訴訟・紛争リスクを軽減するための相談・仲裁・救済の仕組み化
・教職員間のハラスメント対策
・病休、離職の原因分析と防止策の実行
(特に、職場環境や労働条件が原因のものについて具体的な予防策を講じる)
2-3 柔軟な働き方の実現・許容
・時短勤務ができる環境整備(育児や介護をしながら働ける仕組みづくりなど)
・正規職員を続けながら、フレックス制やシフト制、週3日勤務・週4日勤務を可能とするなど
・サバティカル制度の導入 (一定の勤務経験がある人が職務を離れて国内外で研究できる休暇制度)
・希望しない人には部活動顧問を強要しないことや、有給休暇の取得促進など、ワークライフバランスの推進
2-4 職場レベルでの業務改善の支援とそれを可能とするインフラ整備
・労働安全衛生体制の構築・充実
(持ち帰りも含めた仕事時間の正確なモニタリング、衛生委員会等による業務軽減策の検討や業務量の調整等)
・業務改善チームの育成(専門家を活用した研修、コンサルテーション等)
・使い勝手のよいICT環境の整備
・非効率な事務や手続きの断捨離(教育委員会が学校現場の声を踏まえて地域全体で改善)
正規採用教員の数を増やすためには、国による予算確保が必要です。教員の人件費は現在国が1/3、都道府県が2/3を負担しています。また、日本の教員配置の数は、学級の数を基に算出されます。
今後は、少子化で学級数が減ることが想定されるため、都道府県には「先のことを考えると、今は正規採用の数を抑えて、非正規で対応しておきたい」という事情がありますが、以下のような施策を国が実行すれば、都道府県による正規教員の雇い控えを緩和することができます。教員の必要数を正規教員で充足させることを基本とする、本来あるべき運用に戻すことで、安定した学校運営体制を構築し直す必要があります。さらには、子どもたち一人ひとりの個性や特性を大切にして伸ばす、個別最適な学びと協働的な学びを一層推進するためには、現在の教員不足を解消するだけでは不十分であり、以下の通り、数年かけて教員配置をより充実させていくことを提案します。
3-1 基礎定数の改善(少人数学級化の推進により正規教員の人員を増やす)
3-2 義務教育費国庫負担額を現状の現在の1/3から1/2へ戻す
(教員の人件費は現在国が1/3、都道府県・政令市が2/3を負担していますが、
都道府県・政令市の財政事情により、国が定める標準より少ない正規教員しか雇用
できていない地域もあります。都道府県・政令市の財政負担を改善することで、正規教員を雇用しやすくなります。)
3-3 非正規教員の割合に上限を設定(総額裁量制の改善)
(正規教員の定数を、非正規教員にも充てられる総額裁量制という仕組みが
義務教育では導入されていますが、非正規教員の割合に規制がないために、
非常勤講師への依存が高まり、授業以外の負担が正規教員等に集中してしまう課題があります。)
3-4 教員一人当たりの授業の持ちコマ数に上限を設定(義務標準法の”乗ずる数”を調整し配置人数にゆとりを持たせる)
新型コロナの影響で、一部の学校行事のスリム化が進むなどの動きもありますが、感染症対策やICT関連の業務が増えるなど、多くの学校現場では、非常に忙しい日々が続いています。自治体レベルで取り組めることを着実に進め、職場レベルでの働き方改革に、教職員がやらされ感ではなく当事者意識を持って取り組めるための施策を打つべきです。本来の教師の仕事の魅力ややりがいを実感しながら働ける環境をつくる必要があります。
現在の就労状況のままでは、やる気と熱意と力のある若者等に学校現場に入ってきてもらうことは困難です。教員志望者を増やすためにも働き方改革は必須です。
2-1 教員が担う業務の見直し
・部活動を含むさまざまな業務の地域や外部への委託・移行
・教員以外の専門職・支援員の増員/常勤化
(学校事務職員、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、ICT支援員など)
2-2 安心安全な労働環境づくり
・業務上抱えうる保護者等とのトラブルや訴訟・紛争リスクを軽減するための相談・仲裁・救済の仕組み化
・教職員間のハラスメント対策
・病休、離職の原因分析と防止策の実行
(特に、職場環境や労働条件が原因のものについて具体的な予防策を講じる)
2-3 柔軟な働き方の実現・許容
・時短勤務ができる環境整備(育児や介護をしながら働ける仕組みづくりなど)
・正規職員を続けながら、フレックス制やシフト制、週3日勤務・週4日勤務を可能とするなど
・サバティカル制度の導入 (一定の勤務経験がある人が職務を離れて国内外で研究できる休暇制度)
・希望しない人には部活動顧問を強要しないことや、有給休暇の取得促進など、ワークライフバランスの推進
2-4 職場レベルでの業務改善の支援とそれを可能とするインフラ整備
・労働安全衛生体制の構築・充実
(持ち帰りも含めた仕事時間の正確なモニタリング、衛生委員会等による業務軽減策の検討や業務量の調整等)
・業務改善チームの育成(専門家を活用した研修、コンサルテーション等)
・使い勝手のよいICT環境の整備
・非効率な事務や手続きの断捨離(教育委員会が学校現場の声を踏まえて地域全体で改善)
日本大学教授・内閣府子供の貧困対策に関する有識者会議構成員。専門は教育行政学、教育財政学。教育費問題を研究。家計教育費負担に依存しつづけ成熟期を通り過ぎた日本の教育政策を、格差・貧困の改善という視点から分析し共に改善するというアクティビスト型の研究活動も展開。主著に『教育費の政治経済学』(勁草書房)、『子どもの貧困対策と教育支援』(明石書店,編著)など。
2022.5.9 |
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